私たちは誰もが、成長過程で「人と話すときは目を合わせなさい」と教わってきたのではないでしょうか。私の場合、それは中学生の頃の剣道の道場でした。先生からの「目を合わさない!」という注意の言葉が、今でも耳に残っています。
しかし、その指導の意図を本当に理解するまでには、長い時間がかかりました。というより、むしろ最近になってようやく、自分のコミュニケーションスタイルの特徴に気づいたと言った方が正確かもしれません。
気づきのきっかけ
最近、オンラインミーティングが増え、自分の話し方をZoom録画で振り返る機会が増えました。そこで気づいたのは意外な事実でした。私は相手の話を聞くとき、「目で見る」のではなく、「耳で聴く」ことに集中していたのです。
特に裸眼で話をするとき、この傾向は顕著になります。視覚的な情報処理より、聴覚からの情報に重点を置くため、自然と目が泳いでしまうのです。それは、集中力の欠如でも、相手への無関心でもありません。むしろ、より深く相手の言葉に耳を傾けようとする、私なりの聴き方だったのです。
人を理解することの難しさ
この経験から学んだのは、人は往々にして自分の常識や価値観を基準に、他者を判断してしまうということです。「目を合わせないのは失礼だ」「きちんと相手を見ていない」という判断は、視覚的なコミュニケーションを重視する人の基準であって、必ずしもすべての人に当てはまるものではありません。
さらに興味深いのは、私たちはなぜその人がそのような行動を取るのか、その背景にある理由を深く考えることが少ないという点です。相手の立場に立って考えること、その人なりの理由や価値観を理解しようとすることは、想像以上に難しい課題なのかもしれません。
おわりに
コミュニケーションには、正解と言えるただ一つの形はないのかもしれません。大切なのは、相手の話に真摯に耳を傾け、理解しようとする姿勢そのものではないでしょうか。
私たち一人一人が持つコミュニケーションの個性。それを互いに理解し、受け入れ合える社会であってほしい。そんなことを、昔の道場での思い出とともに考えている今日この頃です。
皆さんは、どのようなコミュニケーションスタイルを持っていますか?また、他者の異なるスタイルに対して、どのように向き合っていますか?